フレーズTMSへの移行により、作業効率が30%向上した事例

2002年に設立されたアットグローバルは、翻訳業務を中心に、翻訳技術を生かしたデジタルマーケティングやグローバルリサーチなども手がけています。東京・表参道を本社とし、2022年現在の従業員数は約60名、社内翻訳者は20名、登録翻訳者数は2,200名以上。日本国内をはじめ、東南アジアや欧米にも従業員や登録翻訳者を抱え、24時間体制で業務に対応しています。
課題
翻訳に関する国際規格への対応
アットグローバルでは、グローバル企業からの定期的なマーケティング資料の翻訳案件や、ソフトウェア・ハードウェアの技術資料やマニュアル、ビジネス文書、ウェブコンテンツ、観光、教育、医療、行政資料など多岐にわたる分野で、40以上の言語に対応した翻訳業務を行っています。日英、英日、日中、中日のリソースが充実していることに加え、インドネシア語、タイ語など、東南アジア言語への翻訳も得意としています。
その翻訳業務において、同社はある別のクラウド型ツールをメインに使用していましたが、国際的な基準に準拠した翻訳管理を行って、お客様からの信頼をさらに高めるために、より適したツールを導入したいと考えました。
ソリューション
翻訳管理システムをPhrase TMSに移行
最新の状況に対応するために、株式会社アットグローバルは翻訳管理システム、CATツールの移行の検討を開始。各種ツールを比較した結果、以下の理由で、Phrase TMSの採用を決めました。
シンプルかつ機能が充実したエディタ
当社はPhrase TMSについて、ウェブ版・デスクトップ版とも、エディタの仕様がシンプルながら機能が充実している点が、他のツールと一線を画していると感じました。他のツールでも、プロジェクトマネージャライセンスに付属したウェブエディタがありましたが、やや使い勝手に差が見られました。Phrase TMSのエディタはユーザーフレンドリーであるとともに、デスクトップ版では正規表現を使った検索が可能であるなど、使いやすさと機能のバランスが良いと考えました。
充実したアシスト体制
導入にあたって、Phrase TMSのカスタマーサクセス部門の担当者が親身になって相談に乗ってくれたことも、高い評価につながりました。Phrase TMSでは日本語で丁寧なアシストが得られました。また、新たな機能の導入などの際に、資料だけ提供されるのではなく、ウェブ会議形式で日本語で説明を行ってくれました。このようなアシストは、同社がメインツールをPhrase TMSに変更する大きな理由となりました。
リンギストライセンスの無償提供
一般的なCATツールの場合、エディタを使用するためには、利用者が個別にツールを購入する必要があり、この費用を会社が賄おうとすると、相当の投資が必要になります。一方、Phrase TMSでは1つのプロジェクトマネージャライセンスを契約すれば、10名のリンギストにライセンスを無償で配布できるため、コストを大幅に節約できます。
Phrase Language AIの利便性
当社では、お客様からのご要望に応じて機械翻訳を使用することがあります。近年その要求が高まっている中で、Phrase Language AIでは、複数のMTエンジンを比較検証し、柔軟な運用が可能になります。また、Google Translate、Microsoft Translator、DeepLなど、豊富なエンジンを複雑な設定なしで使用できる点や、最適なエンジンをAIが自動で見つけてくれる機能も便利だと感じました。
LQA部門がハブとなってPhrase TMSの導入を推進
株式会社アットグローバルでは、品質の維持管理を行うLQA(Language Qualty Assuarance)という部署を設けており、この部門でツール導入・使用の促進も行っています。例えば、ツールで何か有用な機能などがあった場合には、LQA部門からプロジェクトマネージャに伝え、プロジェクトマネージャからリンギストに伝えます。逆に、ツールの利用時に不明な点があれば、各部門から直接、LQA部門に問い合わせられる体制になっています。
ツールの機能に関してLQA部門でも不明な点があれば、Phrase TMSのカスタマーサクセス部門に問い合わせ、得られた情報に基づいて、プロジェクトマネージャやリンギストに回答を行いました。このようにLQA部門がハブとなって、Phrase TMSの導入を進めました。
プロジェクトマネージャやリンギストの教育とサポート
システムの移行については、一気にではなく徐々に進める方針をとりました。まずはプロジェクトマネージャに対して、クラウド版のPhrase TMSを使って、個別にZoomなどで画面共有をしながら、使用方法を伝えていきます。プロジェクトマネージャがツールを使えるようになり、エディタ画面に関して理解が深まっていくと、リンギストからの質問にも対応できるようになります。
Phrase TMSは、PMやリンギストにマニュアルとツールそのものを渡して作業してもらうだけで、すぐに使えるようになる分かりやすいツールです。この教育のしやすさもPhrase TMSの利点だと株式会社アットグローバルは考えています。
国際基準での翻訳ワークフロー管理を行う上で、Phrase TMSは非常に使い勝手が良いツールです。機械翻訳が定額で使い放題であることや、日本語での丁寧なアシスタントも、メインツールとして他社製品よりPhrase TMSへ移行するにあたって大きなアドバンテージとなりました。Phrase TMSに移行して以来、作業効率が30%向上しました。

成果
ISOやISMSに適合した工程管理が容易に
お客様からのさらなる信頼を獲得するために、株式会社アットグローバルはISO17100の認証を取得。2022年3月現在で、日英、英日、日中、中日の翻訳すべてにおいて、金融・経済・法務、医学・医薬、工業・科学技術の各分野で認証を取得しています。ISO17100を取得しているベンダーは日本国内に約50社あるなか、このレベルで取得しているのは現在のところ同社のみです。
ISOの認証では、翻訳、レビュー、チェック、プロジェクトマネージャの最終確認といった全工程での管理体制が問われます。Phrase TMSでは、一度プロジェクトを開始した後でも、プロジェクトの途中で後の工程をワークフローに容易に追加できるため、ISOに対応した適切なチェック体制の確立に役立っています。
株式会社アットグローバルはまた、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の国際規格であるISO/IEC27001も取得。翻訳や海外リサーチなどの案件を扱う上で、情報セキュリティの確保やコンプライアンスの遂行を保証でき、企業や官公庁からの高い信頼につながっています。
GDPR(EU一般データ保護規則)など個人情報保護に関する法律に準拠したPhrase TMSは、このISMSのセキュリティ基準を満たした業務運営にも貢献しています。
認証取得により、お客様に、信頼できる翻訳ベンダーを選定する際の基準を提供できるほか、社内スタッフの品質管理やコンプライアンスへの意識が高まる効果もありました。これらの規格では責任の所在が明確に定められているため、社内でも責任に対する認識が高まり、管理体制が取りやすくなりました。
LQA機能を使ったリンギスト評価の見える化
ISOに適合するには、分野別、言語別で一定レベル以上のリンギストを確保する必要があります。Phrase TMSのアルティメットエディション以上で利用できるLQA機能を使うことで、評価に点数をつけて「見える化」できるようになり、リンギストのレベルの管理が容易になりました。
今後さらに進化させたいポイント
当社は、今後さらにLQA機能の活用を強化したいと考えています。プロジェクトマネージャの業務に関しても、クライアントやドメイン、サブドメインといった複数のカテゴリーを紐付けできる機能を使って、分野に応じて最適なプロジェクトマネージャに業務を依頼するなど、Phrase TMSの特長をさらに活かした管理施策を検討しています。
また、機械翻訳の出力に対して用語集を適用できる「MTグロッサリー」機能を活用した、より精度の高い機械翻訳の実現も目指しています。実装がアナウンスされているカスタムエンジン機能について、リリースされ次第、精度を検証しながら、プロジェクトに特化したエンジンを作成していく予定です。