最高の製品ローカライズ事例(そして、それを実現する製品チームのやり方)とは、誰も話題にしないもの

最もスムーズな市場投入とは、静かに始まり、静かに完了するものです。  翻訳依頼に追われるような騒ぎも、緊急対策室での対応もありません。ただ、新しい地域での展開が予定通りに開始され、チームは既に次の課題に目を向けているので […]

最もスムーズな市場投入とは、静かに始まり、静かに完了するものです。 

翻訳依頼に追われるような騒ぎも、緊急対策室での対応もありません。ただ、新しい地域での展開が予定通りに開始され、チームは既に次の課題に目を向けているのです。

「何事もなかったかのような」ローカライズ――つまり、あまりにもスムーズにリリースされるため、実施されたことにほとんど誰も気づかないようなローカライズのことです。グローバル向け製品を手がけるプロダクトマネージャーにとって、これこそが理想の姿であり、多くのチームは自分たちが思っている以上に、その実現に近いところにいます。それは、ゴールキーパーやドラマーの役割に少し似ています。つまり、自分の仕事を完璧にこなしているときほど、誰にもその存在を意識されないのです。こうした状態を実現するために重要なのは、予算を増やすことや優れたツールを導入することよりも、最初から適切なローカライズのプロセスを構築することにあります。 

多くのチームは、Slackでのファイル共有、時差を越えた翻訳者とのやり取り、そして善意に頼った業務の引き継ぎといった、手作業によるアプローチからスタートします。こうしたやり方でも、製品の規模が小さく連携システムが少ないうちは機能します。しかし、製品が成長し連携システムが増加すると、手作業のプロセスは破綻し始めます。そこで本稿では、こうした課題に日々取り組むPhraseの専門家4名へのインタビューを交えながら、現実の運用と「何事もなくスムーズに完了する状態(ノンイベント)」との間のギャップを、チームがいかにして埋めていくかを探ります。

ローカリゼーションの規模は、言語数ではなくシステム数で決まる

まず再考すべきは、規模をどう測るかという点です。多くのチームは、ローカリゼーションの複雑さを対応言語数で判断しがちです。5言語なら管理可能に思え、15言語だとかなりの規模に感じられ、25言語ともなると全く別次元の業務のように思えるかもしれません。しかし、言語数は適切な指標ではありません。

Phraseの統合機能チームでシニアプロダクトマネージャーを務めるJozsef Hodos氏は、次のように述べています。「規模とは、対応する言語の数ではありません。管理するシステムの数なのです」

Jozsef Hodos

CMS、ヘルプデスク、モバイルアプリのコードベース、マーケティングプラットフォーム、ドキュメントサイトといった複数のシステムにわたり、5つの言語をサポートするチームを想像してみてください。たとえ対応言語数が少なくても、適切に統合された単一のシステムで15言語を運用するチームに比べ、このチームの方がはるかに複雑な状況を管理している可能性があります。

言語数が増えれば翻訳量も増えますが、システム数が増えれば保守の手間も増大します。そして時間の経過とともに、その保守にかかるコストこそが、チームの優先順位を決定づける要因となっていくのです。

ですから、「何言語に対応しているか」を問うのではなく、「いくつのシステムを連携させる必要があるか」、そして「そのうちのどれか一つに変更が加わった際、誰が責任を負うのか」を問いかけるべきなのです。

統合機能の構築は容易だが、その維持管理こそが真の課題である

手作業によるローカリゼーションが負担になり始めると、多くのチームは自然と独自の解決策を構築しようと考えます。カスタムコネクターやポイントツーポイントのAPI連携、あるいはシステム間でファイルを移動させるスクリプトなどがその例です。これは理にかなった選択と言えます。チームは自社の技術スタックを熟知しており、課題も明確に定義されている上、自社で構築すれば新たなベンダーを介さずに済むからです。最初のバージョンはうまく機能し、問題は解決したように見えます。しかし、やがて時間が経過していきます。

過去1年間、顧客と共にこうした統合機能の開発に取り組んできたJozsef氏は、構築作業自体はそれほど困難ではないと語ります。彼によれば、真の課題はその後に待ち受けています。「維持管理が非常に大変なのです」ローカライズには、開発者が必ずしも予期しない複雑さが伴います。たとえば、右から左へ記述するレイアウトへの対応や、翻訳メモリを有効活用するためのコンテンツ構造の設計などがその例です。さらに、本番環境で初めて露呈するエッジケースの問題もあります。こうした統合機能は多くの場合、個別に開発されるため、それぞれに特有の挙動があり、長期的な保守・運用の負担も個別に発生することになります。

インフラ担当チームは、これを「保守の先送り」と呼んでいます。つまり、システムが正常に稼働している間は表面化しないものの、後になってはるかに大きなコストを伴う問題として浮上するコストのことです。

業界データもこの点を裏付けています。Nimdziのコネクター分析によれば、主要な10のTMSプラットフォームが提供するネイティブ連携機能は、企業が日常的に利用する業務アプリケーションの13%未満にしか対応しておらず、大半は独自開発に委ねられています。保守コストが積み重なるのは、まさにこの部分です。Nimdziは「2026年TMS市場レビュー」において、AIを用いて独自ツールを構築する組織は、それらのソリューションの開発・導入・保守に伴う「スケジュール、複雑さ、変更管理」を過小評価しがちであると警鐘を鳴らしています。初期導入の段階が最もコストのかかる工程であることは、まずありません。

ネイティブ統合の導入には、綿密な設定が必要

ネイティブ統合は、独自に構築するコネクターに代わる選択肢となります。これにより、自社で統合機能を開発・保守する負担はなくなりますが、別の課題が生じます。それは、それらを効果的に設定することです。

たとえば、「プロジェクトの自動作成」機能が挙げられます。これは、連携先のプラットフォームで新しいコンテンツを検出し、自動的に翻訳プロジェクトを作成します。適切に設定されていれば、ローカリゼーションのプロセスはほとんど意識することなく進みます。コンテンツが検出され、プロジェクトが作成され、翻訳が納品されるという流れです。しかし実際には、Phraseの統合機能チームでチームリーダーを務めるTomáš Doischer氏が指摘するように、ほとんどの導入事例において、その後の微調整が必​​要となります。各社の環境はそれぞれ異なるため、どれほど経験豊富なチームであっても、万人に通用する単一の設定というものは存在しないからです。

見落とされがちな組織上の課題もあります。ローカリゼーションマネージャーはローカリゼーションの専門家ですが、連携が必要なシステムは通常、他のチームが管理しています(CMSはウェブチーム、CRMは営業チーム、マーケティング用のアセットが保存された共有ドライブはマーケティングチームなど)。システムの連携を実現するには、ローカリゼーションマネージャー自身では用意できない認証情報や権限が必要となることが多く、その結果、普段は一緒に仕事をしないチーム間での依存関係が生じることになります。

こうしたプロジェクトを管理したことのある人なら、お決まりのパターンをご存じでしょう。権限を持つ人はローカリゼーション担当ではなく、ローカリゼーション担当者は権限を持っておらず、その両者をつなぐ管理者は木曜日まで休暇中なのです。まさにそこに「本当の仕事」があり、プロジェクトを始める前にそれを理解しておくことが何よりも重要です。

技術的な専門知識よりも「準備」が重要な理由

PhraseのエンタープライズソリューションアーキテクトであるAlejandro Medina氏は、数多くの導入プロジェクトに携わる中で、スムーズに進むプロジェクトと難航するプロジェクトを分ける要因が何であるかを知り尽くしています。その要因は、技術的な専門知識ではありません。「成功を左右するのは、関与する人々の特定の役割や技術的な経歴ではありません。最も重要なのは、クライアントの環境を理解し、適切な質問をすることなのです」

Alejandro氏は、ほぼ同じ構成を持つ2つのチームの事例を紹介しています。一方のチームは、4つのリポジトリにまたがってGitHubとの連携を導入しようとしていました。設定を行う前にドキュメントを精査した結果、ある潜在的な問題に気づきました。それは、リリースごとに名前が変わるプルリクエストのブランチを使用すると、連携機能によるコンテンツの追跡と競合してしまうという点です。そこで彼らは計画をそのまま進めるのではなく、ワークフローを再設計し、インポートには連携機能を、エクスポートにはGitHub Actionsを使用することにしました。これとほぼ同じ構成のもう一方のチームも同じ問題に直面しましたが、それは運用開始から数週間後のことでした。使用した連携機能は同じでも、結果は大きく異なったのです。

適切な計画は、単にチームが問題を回避するのに役立つだけでなく、新たな可能性を切り開くものでもあります。PhraseのPhrase StringsとFigmaの統合機能は、その好例です。デザイナーがFigmaで翻訳キーを作成すると、統合機能が自動的にスクリーンショットを撮影し、各文字列の配置場所をハイライト表示します。誰かが手作業で参考資料を用意しなくても、翻訳者はボタン、ダイアログボックス、設定画面など、実際の視覚的な文脈の中でテキストを即座に確認できます。「btn_confirm_2」のようなキーを解釈しようと苦労する代わりに、最初から必要な文脈を把握できるのです。つまり、コンテンツと共に文脈も引き継がれるのです。

PhraseのローカリゼーションディレクターであるFrancesca Sorrentino氏は、次のように述べています。「統合機能は基盤となる層ですが、それだけで実際のユースケースにおけるあらゆる課題が解決するわけではありません。成功しているチームは、統合機能の役割を正しく理解し、それを中心に適切な仕組みを構築しています」

Francesca Sorrentino

成功するチームとは、単に技術力が最も高いチームのことではありません。自動化を行う前に、自社のプロセスを理解しているチームなのです。どんなコネクターや統合機能よりも、その理解こそが、ローカリゼーションや製品ローンチを円滑に進めるための鍵となります。

プロダクトマネージャーの早期関与は大きな成果をもたらす

プロダクトマネージャーは、問題が既に表面化した後に招集されることがよくあります。製品とそれを支えるシステムの両方を理解している彼らは、問題を解決する上で最適な能力を備えています。しかし、彼らが関与する頃には通常、すでにスコープが定義されており、成果に影響を与える最大の機会はすでに過ぎ去ってしまっているのです。

プロダクトマネージャーをプロセスの早い段階で巻き込むことで、ローカリゼーションチームは必要な文脈情報(機能の概要、コンテンツの表示場所、対象市場など)を最初から確実に受け取れるようになります。しかし、こうした情報が整理された形でローカリゼーション担当者に伝わらないことがあまりにも多いのが現状です。エンジニアがタスクに着手し、翻訳キーを作成してコードをリリースしても、ローカリゼーションマネージャーの元に届くのはキーだけであり、翻訳者に適切な説明を行うために必要な文脈情報は含まれていないのです。

その文脈こそが、文字列の背後にある意図を理解している翻訳者と、キー名から意味を推測せざるを得ない翻訳者を隔てるものです。

グローバル製品管理についてのSilicon Valley Product Groupのブログで、Marty Cagan氏とBob Baxley氏は、チームが犯しがちな最大の過ちの一つとして、ローカリゼーションを製品の中核的な要素ではなく、後工程への引き渡し作業として扱ってしまうことを挙げています。言い換えれば、それは後から付け足すものではなく、最初から設計に組み込んでおくべきものなのです。Tablecheckの製品責任者であるAude Moras氏は、これをより率直にこう表現しています。「市場投入の準備を整えた後になって、ローンチのわずか2週間前にローカリゼーションについて考え始めるような事態は避けたいものです」

Phraseの統合機能チームを率いるTomáš Doischer氏も、別の視点から同様の指摘をしています。彼が目にする最も一般的な間違いは、チームが「そのワークフローが本来何を実現するために設計されたものか」を立ち止まって考えることなく、既存のワークフローをそのまま新しいシステムに再現しようとしてしまうことです。彼いわく、「古いプロセスを新しいシステムに1対1で当てはめようとするのは、ピザ作りのレシピをハンバーガー作りに適用しようとするようなものです。既存のプロセスがどのような問題を解決していたのかに注目し、その成果を実現できるように設計すべきなのです」

私見ですが、これこそがプロダクトマネージャーが最大の価値を発揮できる場面です。
リリースに向けたプレッシャーが高まるずっと前の段階で、製品の背景やスケジュールを議論に持ち込み、ローカリゼーションを「金曜日までにグローバル対応にしてほしい」といった直前の付け足し作業ではなく、製品設計の初期段階から組み込むべき要素として位置づけることができるからです。


Phraseプラットフォームの統合をネットワーク図で示したイラストで、WordPress、Salesforce、HubSpot、GitHub、Google Drive、AWS、Figma、Unityを含みます。

実査の動作を見る

Phraseの統合機能は、コネクターのエコシステムと、その中で自動プロジェクト作成がどのように機能するかを示します。

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