Phraseを活用した翻訳エコシステム

Phrase Case Study CFC

コングレ・グローバルコミュニケーションズは、コンベンション業界のトップ企業コングレ社のグループカンパニーです。翻訳、通訳、語学人材派遣・紹介サービスをご提供しています。お客様の課題に対し、これらサービスを有機的に組み合わせたワンストップでのご提案が可能で、お客様と一緒にPDCAサイクルを回しての効率化に寄与できることを強みとしています。

サービスを組み合わせる際のハブとなるテクノロジーと経験豊富な人材の融合、人とテクノロジーが融合するサービスにも力を入れています。例えば、「IRランゲージソリューション」サービスでは、これまで企業様が翻訳・通訳とは別に依頼していたオンライン説明会の運営や動画編集もワンストップでご提供が可能です。

翻訳サービスにおいては、経験豊富な翻訳者と翻訳管理システムを組み合わせて、クオリティ、コスト、デリバリーの観点から、より効率的な翻訳フローをコンサルティングしています。

課題

Phrase導入前の課題

コングレ・グローバルコミュニケーションズは、2015年より、Phrase TMS(当時はMemsource Cloud)を活用することで、社内の翻訳業務プロセスの効率化に取り組んできましたが、翻訳管理システムが導入されていないクライアントの翻訳案件は、煩雑なものになりがちでした。また、翻訳管理システムを導入しているクライアントであっても、機能を十分に活用できていない、というご相談を受けることもありました。

そんな中、外資系金融関連会社のクライアントから年間で2,000 件(500万文字)の人手翻訳、3,000件(1,000万文字)の機械翻訳を受注していました。

クライアントは、人手翻訳と機械翻訳それぞれに課題を抱えていました。

<人手翻訳>

  • 翻訳管理システムがないため、数千単位の翻訳を依頼しているのに、言語資産が蓄積されない
  • メールやチャットなどで都度翻訳ファイルを提出する必要があり、翻訳依頼の手間が煩雑

<機械翻訳>

  • 業界/会社固有の表現・言葉での出力がほしいのに、思ったような出力が得られない
  • セキュアな機械翻訳エンジンを使いたい
  • クライアントは翻訳専業ではないため、難しいツールは勧められない

解決策

言語資産をクライアントと共同で整備

「言語資産が蓄積されない」という課題を解決するため、コングレ・グローバルコミュニケーションズはクライアントと共同でPhrase TMSの翻訳メモリと用語ベースの整備に着手しました。

  • 用語集:6,500 エントリー
  • 翻訳メモリ:530,000 エントリー

言語資産が翻訳システム上で整備されることで、高品質、低コストの翻訳が可能になるため、クライアント、リンギスト、翻訳会社の全員がメリットを得られるアクションでした。

 

言語資産と機械翻訳エンジンのいいとこどりを実現

言語資産の整備の後は、Amazon、DeepL、Google、Microsoftといった機械翻訳ツールの主要プロバイダが提供するフル接続済みエンジンであるPhrase Translateの活用に着手しました。言語資産とPhrase Translateを活用することで、クライアントは業界/会社固有の表現・言葉での出力が得られるようになり、リンギストは通常より修正しやすい機械翻訳出力が可能になりました。

 

「サブミッターポータル」の活用で翻訳発注を効率化

言語資産と機械翻訳エンジンの次は、翻訳発注の仕組みの効率化に着手しました。年間数千件以上の翻訳依頼を、都度メールやチャットで行うのは効率的ではありません。クライアントからの翻訳依頼の提出を、Phraseの「サブミッターポータル」で効率化する仕組みを実現しました。特殊なファイルフォーマットなどの事情で、細かいコミュニケーションをとりたい場合は、コーディネーターへ個別に連絡を取る仕組みも確立しました。

 

生産性の向上と高度なチームプレイの実現

整備された言語資産と、機械翻訳エンジンのメリットを享受することで、リンギストの生産性が向上しました。また、翻訳案件に関する情報をPhrase TMS上に一元管理できることで、コミュニケーションのロスがなくなり、リンギスト間、リンギストとコーディネーター間でより高度なチームプレイが実現しました。

 

Phraseを活用した翻訳エコシステム

クライアントが当初抱えていた課題はPhrase TMSを導入することで、解決できました。

<人手翻訳の課題>

  • 言語資産が蓄積されない→Phrase TMSに言語資産を蓄積
  • 翻訳依頼の手間が煩雑→Phrase TMSの「サブミッターポータル」を活用

<機械翻訳の課題>

  • 業界/会社固有の表現・言葉での出力がほしい→言語資産と機械翻訳の組み合わせで実現
  • セキュアな機械翻訳エンジン→Phrase Transalate 全社導入で安心
  • 難しいツールは勧められない→Phrase TMSなら誰でも簡単に使い始められる

成果

Phrase TMSを活用し、みんなが喜ぶ仕組みを実現

クライアントを巻き込んだPhrase TMSの導入は、クライアントからご好評いただいており、2,000 件(500万文字)の人手翻訳は1.2倍、3,000件(1,000万文字)の機械翻訳は2倍の翻訳案件を見込むことができています(同社による主観評価)。

また、Phrase TMSを活用した翻訳エコシステムは、コングレ・グローバルコミュニケーションズとそのリンギストにとっても働きやすい環境を実現しました。

 

今後のPhrase TMSに期待すること

Phrase TMSは機能が多数あり、Phrase Orchestratorなどまだ試すことができていないものがあるので、今後も引き続き検証を続けていきたいと考えています。Phrase TMSのようなテクノロジーを活用することで、翻訳作業に関わる無駄を削減し、良い表現の模索やプロセス改善など、本当に大切な業務に集中にできるようになれば、翻訳にかかわるすべての人に、幸せな未来が訪れるのではないかと考えています。

クライアントを巻き込んだPhrase TMSの運用は、クライアントが抱えていた翻訳に関する課題を解決した上、当社のリンギストとコーディネーターに生産性向上と高度なチームプレイの実現をもたらしました。当社では、これを「Phraseを活用した翻訳エコシステム」と呼んでいます。

酒井 将機 氏

コングレ・グローバルコミュニケーションズ, 翻訳部営業責任者

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