日本の大手翻訳会社のモダンで容易なワークフロー

Case study featured image Honyaku Center | Phrase

翻訳センターは1986年に医薬専門の翻訳会社として設立されました。設立以降、工業、特許、金融と順調に事業を拡大し、今日では国内最大手の翻訳会社として知られています。同社は「すべての企業を世界につなぐ言葉のコンシェルジュ」という経営ビジョンの下、ランゲージサービスを通じてさまざまな企業のグローバルな事業展開をサポートしています。

課題

非効率の排除と専門的なニーズへの対応

当社ではPhrase TMS導入以前も、他社のさまざまなCATツール(翻訳支援ツール)を使用していました。それらのツールは各種機能を備えていましたが、オーバースペック気味で操作が難しいために利用者の方々、特に登録いただいている翻訳者の方々がうまく使いこなしきれないという問題を抱えていました。

操作が難しいために利用者の方々、特に登録いただいている翻訳者の方々が

うまく使いこなしきれないという問題を抱えていました。

ソリューション

Phrase TMS-フル機能のオールラウンドソリューション

この問題を解決すべく、他の製品を検討し始めた時に有力な候補に挙がったのがPhrase TMSでした。導入の決め手となったのは、1. 必要十分な機能を備えつつ、操作が容易で、汎用性の高いツールであったこと2. 当時はまだ珍しかった、クラウド型のツールであったこと

という2つの理由です。実際に使い始めてみると、Phrase TMSは多くの点で非常に優れていることがわかりました。

汎用性の高さ

Phrase TMSは、企業で一般的に使用されるファイル形式(MS Word、Excel、PowerPoint)に一通り対応していました。また、プロジェクトマネージャにとって必要な原稿データの解析機能、翻訳メモリと用語集の管理機能や、翻訳者にとって便利なコメントの記録機能など、バランス良く機能が備わっていました。

直感的に操作できるインターフェース

プロジェクトマネージャは、複数の案件を同時に管理しています。そのためユーザーインターフェースがわかりやく、かつ直感的に操作できるものになっていることは非常に重要です。この点でPhrase TMSは理想的なツールでした。同じことが、翻訳者にも当てはまります。Phrase TMSならば、どのパッケージを操作すべきかを考えながら、恐る恐る選択する必要はありません。直感的にリンクをクリックするだけで、すぐに作業スペースにアクセスできるのは大きな魅力です。

充実したサポート体制

導入当初は、日本語のフォルダ名が文字化けする、ファイルサイズやセグメント数に制約があるなど、全く問題がなかったわけではありませんが、Phrase TMS社のエンジニアリングチームが可能な限りこれらの問題を解決しようと取り組んでくださったのは助かりました。

クラウド型の利点と万全のセキュリティを両立

当社は毎日、数多くの案件に対応していますが、最も重要になるのはやはり利便性です。従来のシステムでは、プロジェクトごとに原文や訳文のデータが格納されたパッケージ等をメールに添付し、外部の翻訳者や校正者とやり取りする方式が採られていました。しかしクラウド上でプロジェクトを共有できれば、全体の作業ははるかに効率的になります。なぜなら翻訳者から校正者へのワークフローも、時間を無駄にせずにスムーズに行えるからです。クラウドベースのシステムということで、導入前にはセキュリティに少々不安もありました。しかしメールにパッケージ等を添付するよりも、クラウド上でプロジェクトやデータのアクセス状況や各スタッフの作業状況を管理する方が、むしろセキュリティは強化できます。当社はこう判断してPhrase TMSの導入に踏み切りました。

当社がPhrase TMSを選んだのは、使い勝手がよく、必要な機能が一通り備わっていたからです。ソフトウェアのよさに加え、Phrase TMS社のサポート体制が充実している点も導入の決め手になりました。Phrase TMSを導入し、業務を効率化した結果、大幅なコスト削減に成功しました。

田嶌 奈々 氏

品質管理推進部 部長

成果

翻訳とプロジェクト管理を1つの合理的なワークフローで実現

当社はPhrase TMSの導入により、業務全般の大幅な効率化に成功しました。当初、Phrase TMSを利用した案件の割合は全体の5%程度でしたが、社内外で利用者が増えたことも追い風となり、現在では大多数の案件でPhrase TMSを利用するに至っています。

翻訳業界を見渡しても、Phrase TMSのような優れたツールの重要性は高まる一方です。Phrase TMSはCAT(翻訳支援ツール)というよりも、むしろTMS(翻訳管理システム)と呼ぶべき製品だと思います。翻訳作業そのものを効率化しながら、品質を高めていけるのはもちろんですが、プロジェクト全体のマネージメントに関しても、以下の4点のような充実した管理機能を備えているからです。

1.翻訳作業・ワークフローの効率化

従来の翻訳作業では、プロジェクトマネージャが翻訳者に作業を依頼。個々の翻訳作業が終わった時点でファイルを受け取り、校正者に渡す方法が採られていました。しかし、この方法にはいくつかの問題点がありました。まず翻訳を依頼した後は、個々の翻訳者が作業を終えるまで任せきりになるので、リアルタイムで進捗状況を把握・管理することができませんでした。そのため翻訳チームの誰かの作業が遅れた場合にも、すぐに他の翻訳者に割り振ることができない。あるいは、翻訳者から校正者への作業の引き継ぎに時間がかかり、プロジェクト全体に遅れが生じるリスクを有していました。Phrase TMSはクラウドベースのため、翻訳や校正そのものがスムーズで正確になるだけでなく、すべての作業の進捗状況をリアルタイムで把握・管理できます。プロジェクトマネージャは、各スタッフの能力や負荷、能力まで把握しながら、重要な案件を予定の通りにスムーズに進めていくことが可能になります。

2.品質管理(QA・用語統一)が容易

産業翻訳で何よりも重要なのは、均質性と一貫性です。Phrase TMSはエディタに品質保証(QA)機能が搭載されているので、原文セグメントと訳文セグメントを比較しながら、さまざまな種類のエラーを検出することができます。訳漏れやブレ、数字・スペース・タグの不一致、スペルミス、用語ベースとの不一致など、詳細が一覧表示されるので、翻訳者はエラーを効率よく修正することができます。

QA機能は、原則としてプロジェクトマネージャが設定しますが、適用する項目を細かく選択できるだけでなく、翻訳者がQAチェックで表示された警告を解決しない限り、作業ステータスを「完了済」に変更できないように設定することも可能です。Phrase TMSのQA機能を使用することで、翻訳の品質を均質に維持することができます。

3.言語資産を蓄積・活用できる

翻訳作業の効率化と品質向上の鍵を握るのは、過去の言語資産の蓄積と活用です。クラウドベースのPhrase TMSなら、過去に手がけたプロジェクトを容易に検索・参照できるだけでなく、リアルタイムで翻訳メモリに蓄積されるので、無駄な時間を掛けることなく翻訳をすることができ、結果としてお客様の短納期の要請にも応えることができます。

4.機械翻訳(MT)を安全かつ便利に利用

機械翻訳の進歩には目覚ましいものがあります。機械翻訳を有効活用していくことは、作業の効率化、コストの削減、品質の安定化を図る上で不可欠と言えます。Phrase TMS は機械翻訳にいち早く対応し、現在では30種類以上もの機械翻訳エンジンと連携しています。

また、人工知能(AI)を活用した、機械翻訳品質評価(MTQE)システムも提供しているので、必要に応じてプロジェクトに最適な機械翻訳エンジンを選択することや翻訳された文章の品質を4段階のスコアで表示することも可能です。技術が進歩する中、より安全かつ便利な形で、機械翻訳のポテンシャルを最大限に引き出していこうとするPhrase TMS社の前向きな姿勢に感心しています。

Phrase TMSを選び続ける理由

当社がPhrase TMSを導入して約10年経ちますが、今後もPhrase TMSを利用し続けたいと考えています。ユーザーの声やフィードバックを製品に反映しようとするサポート体制、翻訳会社にとってもお客様にとっても最も重要な「翻訳品質」を担保するためのQA機能、そして機械翻訳やAIなどの最新技術を積極的に取り入れる先進性に、強い魅力を感じています。Phrase TMS社は、翻訳業務を深く理解しつつも、常に一歩先を見据えた製品開発を続けている企業と言ってよいのではないでしょうか。