Phrase TMSで翻訳の一貫性を保つ
株式会社メルカリは、日本最大のフリマアプリ「メルカリ」とともに、スマートフォン決済サービス「メルペイ」を運営しています。ここ数年で、メルカリは日本を中心とした企業から、世界中から集まった多様性に富んだ従業員とともに、東京にオフィスを構える企業へと成長しました。海外から入社した社員は、日本語のスキルが限られている場合も多いため、メルカリでは社内に翻訳・通訳チームを設け、日本語話者と英語話者の橋渡しをするサポートを行っています。
課題
多言語チームにおける言語ギャップの解消
以前は翻訳の需要が少なく、翻訳チームは数名のメンバーだけで全てをこなすことができました。しかし、日本語以外の言語を話す人材が急増するにつれ、翻訳依頼の数も増え、翻訳チームも拡大していきました。翻訳の一貫性という大きな問題が生じるのに、それほど時間はかかりませんでした。
翻訳チームはプロジェクトベースではなく、依頼ベースで作業するため、関連文書を別の翻訳者にアサインすることもあります。用語集があっても、翻訳者によって同じ単語の訳し方が異なる傾向があります。製品名のような固有名詞については用語集を参照しても、動詞や形容詞のような日常的な単語についてはそうではありません。一貫性のない翻訳は混乱を招く可能性があります。
さらに、翻訳チームは同じ翻訳を何度も行っていることに気がつきました。文書が更新され、再び翻訳依頼があっても、以前に訳したことを覚えていない限り、最初から翻訳し直すことになり、無駄な作業や時間の浪費につながっていました。
解決策
翻訳メモリと用語ベースによる翻訳のスピードアップ
メルカリは2019年にPhrase TMSを導入しました。過去の翻訳から翻訳メモリ(TM)を構築した後、Phrase TMSによるポジティブな結果がすぐに現れました。例えば、毎週の更新は、前の週から変更されていないすべてのセグメントに自動的に埋め込まれます。翻訳チームが以前に翻訳された可能性のある翻訳依頼を受け取った場合、翻訳チームはそれをPhrase TMSにアップロードして、セグメントがすでにTMにあるかどうかを確認するだけでよいのです。一貫性という点では、各セグメントに用語ベースの提案が自動的に表示されるため、用語集を参照する必要がなく、翻訳者は情報を指先で確認することができます。用語ベースに何も表示されなくても、翻訳者はTMを検索して、その単語を含む過去訳の例を検索し、どのように翻訳されてきたかを簡単に確認することができます。
Phraseは私たちのローカリゼーションプロセスを一変し、導入したその日からポジティブな結果を得ることができました。各翻訳プロジェクトの範囲を測定し、解析できることによって、すべての関係者に正確かつ即時のインサイトを提供してくれます。
成果
翻訳の測定と分析
Phrase TMSではまた、メルカリがこれまでできなかった方法で翻訳を測定し、分析することができます。翻訳の多くは、Google Docs、スプレッドシート、スライド上で行われていますが、スプレッドシートやスライドには、文字数や単語数を測定するためのソリューションが組み込まれていません。Google Driveのコネクタから Phrase TMS にファイルをアップロードすることで、メルカリの翻訳者は、すべてのドキュメントの正確な文字数だけでなく、すでに TM に入っているセグメント数や文字数の内訳を見ることができます。現在、チームはこれを利用してワークフローを改善し、マッチ率に基づいて翻訳にかかる時間をより正確に見積もるようにしています。