導入事例

翻訳の前処理と後処理の作業負荷を半分に削減

グローバルな製品リリースの需要が高まる中、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、手動のオーバーヘッドを削減しながらソフトウェア開発を加速する必要がありました。翻訳ワークフローを合理化することで、同社はプロジェクトの準備と納品時間を50%短縮し、手動ファイル変換を排除し、より迅速で頻繁なリリースをサポートするアジャイル開発を実現しました。チームはわずか1か月で完全に稼働し、従業員を増やすことなく、より高い効率とコスト削減を達成しました。

Fujifilm logo colored for logo banner | Phrase

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、1962年に富士ゼロックスとして創業して以来、電子写真技術である「ゼログラフィー技術」による文書複写でオフィスに革新をもたらし、機器そのものではなく「複写する」効用自体をレンタルサービスとして提供する画期的なビジネスモデルを世の中に定着させました。

オフィスソリューション事業、グラフィックコミュニケーション事業、ビジネスソリューション事業におけるさまざまな商品・サービスを通じて、アジア太平洋地域から世界全体においてお客様の価値創造を支援しながら、世界中で信頼されている富士フイルムブランドを広めることができました。

さまざまな製品のUIのローカライズ

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社UIローカライゼーションチームでは、翻訳業務管理者2名、翻訳者4名の体制で、主に同社製品のソフトウェアやアプリのユーザーインターフェイスに表示するメッセージを対象に、多言語翻訳を行なっています。

日英翻訳の一部は社内で行い、その他の翻訳は関連会社であるFUJIFILM Business Innovation Asia Pacific Pte. Ltd.社に委託しています。このような体制のもと、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の製品は、日本語、英語、簡体字中国語、繁体字中国語、韓国語、ベトナム語、インドネシア語、タイ語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語に対応しており、アジア太平洋およびヨーロッパの各国・地域へ、製品やサービスをグローバルに展開しています。

Phrase導入前の課題

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社では、以前は他社の翻訳管理システム(TMS)を使用していました。当時、プロジェクトマネージャーが実施しなければならなかった前処理は非常に複雑でした。主にプロジェクト管理者が行わなければならない前処理が複雑でした。

同社の製品で使われる文言は、プログラミング言語データ内に埋め込まれているため、製品の仕様に応じて、さまざまなフォーマットに対応する必要があります。とくに、初めてのフォーマットを扱う際には、翻訳システムとデータの受け渡しをするためのエンコード/デコードツールを独自に開発する必要がありました。

いくら翻訳作業自体を外注できても、その前後の処理作業に時間や手間がかかってしまっては、効率化の効果が薄れてしまいます。この部分を改善して業務の合理化を目指すために、同社は翻訳管理システムの乗り換えを検討しました。

スケーラブルな翻訳管理システムへの切り替え

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社は、上記の課題を解決する手段として、手頃な価格で、使いやすい翻訳管理システムを探しました。まず、翻訳部門はPhrase TMSの無料版を試しました。機能、互換性、一般的な機能を確認した後、Phrase TMSのエンタープライズプランの導入を決定しました。

前処理および後処理の必要性を50%削減

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社では、Phrase TMSを使用することで、問題であった翻訳の前処理/後処理のワークフローが簡素化されました。Phrase TMSは多彩なファイル形式をサポートしているため、以前のようにエンジニアがエンコード/デコードツールの開発に取り組む必要がなくなりました。この取り組みにより、労力と時間の両面でリソースが効率化されました。

FUJIFILMビジネスイノベーション株式会社は、新しいファイル形式を初めて扱うプロジェクトの作成にかかる工数を50%削減することができました。また、Phrase TMSの完了した翻訳ファイルをそのままソースコードに組み込むことで、翻訳管理の作業も軽減されました。

製品開発部門から原文を受け取って翻訳を開始するまでにかかる時間と、翻訳を完了してクライアントに訳文を納品するまでにかかる時間の両方が、約50%削減されました。

プロジェクト作成の高速化で、アジャイル開発に対応

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社では、製品のユーザーインターフェイスの開発において、アジャイル開発手法を取り入れています。文言の翻訳作業については、従来は製品の開発が終わってから、まとめて取り掛かるという流れでしたが、

アジャイル開発の導入により、製品開発の進捗や仕様の変更に合わせて、随時翻訳を行うワークフローへと変化していきました。こまめな依頼に対応するためには、翻訳システム上での頻繁なプロジェクト作成が必要になります。従来の翻訳システムでは、翻訳の前後に変換処理が必要で、多くの作業が発生していたため、プロジェクト数が増えるとその作業量も比例して増加していました。上記のように、翻訳前後の変換作業の必要性は、Phrase TMSを導入することでほぼ消失しました。頻繁な翻訳依頼にも素早い対応が可能に。 製品のアジャイル開発をスムーズにサポートしています。

TMSの使用方法を短期間で習得

富士フイルムビジネスイノベーション株式会社では、翻訳管理者がPhrase TMSの機能を習得し、約1か月で実際のプロジェクトやジョブに適用できるようになりました。また、最初の数か月間は、Phraseサポートに連絡して新たな気づきや問題に対処しました。

データ処理は簡単に理解できます

Phrase TMSのツールのインターフェイスはわかりやすく、最低限必要な設定を理解するのにほとんどトレーニングが必要ありません。そのため富士フイルムビジネスイノベーション株式会社では、サンプルデータを使って、さまざまなワークフローや設定を試しながら、最適な作業プロセスを簡単に決定していくことができました。

また、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社にとって、Phrase TMSがクラウドでホストされていることは大きな利点であり、自社で管理サーバーを所有してメンテナンスを行う必要がなくなります。

連結で3万7000名以上の従業員を擁し、8500億円を超える年商を達成している、名実ともに世界的な大企業である富士フイルムビジネスイノベーション株式会社のような組織にとって、業務プロセスを改善し、ビジネスを拡大する方法を常に模索することが不可欠です。Phrase TMSのような効率的で便利なシステムを活用することで、より重要なタスクや未来のアイデアにエネルギーを注ぐことができ、機敏さを保ちながらさらなる可能性を導くことができます。

翻訳者は、約1週間でツールの使い方を習得できました。CATエディタは、操作方法を直感的に理解しやすい普遍的なUIを備えているため、翻訳者はユーザーマニュアル等を頻繁に参照することなく、基本的な操作を行えるようになりました。現在では、翻訳メモリ、用語ベースを十分に活用し、効率アップと質の確保を実現しています。

佐藤 涼子氏

Project Manager of UI Localization Team