ローカリゼーションで広がるZendeskのグローバルサポート

2007年にデンマークのコペンハーゲンで創業したZendeskは、円滑な顧客対応の実現に注力してきました。現在は本社を米国サンフランシスコに移し、企業と顧客をつなぐために、ビジネスの効率化を支援する多様なSaaS製品を提供しています。
Zendeskのソリューションは、従来のカスタマーサービス領域にとどまらず、営業や従業員エクスペリエンスなど、より広範な分野へと展開しています。現在、160以上の国と地域で10万社を超える企業がZendeskを導入しており、グローバルでの従業員数は5,000人を超えています。
課題
急速な拡大に向けた戦略的なローカリゼーションパートナー
Zendeskの製品は、使いやすさ、多様なソリューション、豊富な統合機能、AIの活用といった特長を備え、カスタマーサポートソフトウェアのリーダーとしての地位を確立しています。創業当初から国際市場を視野に入れたソリューションを提供しており、現在では約31の言語に対応した5つの製品バリエーションを展開しています。このような背景から、ローカリゼーションは同社のビジネス戦略および成功において極めて重要な役割を担っています。
その一環として、Zendeskのローカリゼーションチームは、UIラベル、ナレッジベースの記事、法務文書、動画、画像、顧客からの問い合わせ、トレーニング資料など、製品に関連するあらゆるコンテンツの翻訳を担当しています。しかし、同社の翻訳プロセスは、製品ワークフローを十分に理解していない外部ベンダーによって管理されていたため、いくつかの課題が生じていました。

Zendeskはグローバルに事業を拡大する中で、従来の手作業に依存したプロセスでは限界が生じていました。こうした状況を受け、急速に成長するビジネスに柔軟に対応できるソリューションを求めていました。
「さまざまなパートナーと連携しながら、必要に応じて拡張できる柔軟性が不可欠でした」。と、Zendeskのプロダクトグローバリゼーション担当シニアディレクター、Yoko Drain氏は語ります。
Zendeskは、翻訳メモリを自社で所有・管理したいと考えており、コスト・効率・品質の最適化に向けて、正確な情報に基づいた意思決定を行える環境を整える必要がありました。そのためには、ローカリゼーションプロセスの改善と、関連データへのアクセス範囲の拡充がが不可欠でした。
私たちは、5つのバリエーションを含む約31の言語をサポートし、世界中の市場で事業を展開しており、拡大を続けています。可視性および管理が十分に確保されない状態で運用すると、その複雑さゆえに対応が非常に困難になる恐れがあります。
YOKO DRAIN 氏
Sr.Director of
Product Globalization
Zendesk 社
ソリューション
Zendesk、AIを活用したPhrase Platformとの統合でグローバル展開を強化
ローカリゼーション目標を達成するために、ZendeskはPhraseを選択し、PhraseのEnterprise Localization Platformの一部機能を導入しました。その後、デザインツール Figmaのプラグインも導入し、Zendeskのデザインチームはさまざまな言語でローカライズされたデザインをテストできるようになりました。
ZendeskとPhraseは正式なパートナーシップを結び、2つのプラットフォームの統合に成功しました。この統合により、Zendeskの顧客は、ヘルプセンターのコンテンツを簡単にローカライズできるようになりました。Phraseは、5年間のAIロードマップの一環として、顧客とエージェント間の会話をリアルタイムで翻訳するためのZendesk Support向けPhrase Language AIを導入し、Zendeskエコシステム内でのサービス展開を拡充しました。このソリューションにより、カスタマーサポートエージェントは、あらゆる言語で、迅速かつ信頼性の高い高品質の翻訳によるコミュニケーションを行うことができ、時間の大幅な節約とコストの削減が可能になりました。
「PhraseのAdvanced Analyticsは、当社の翻訳資産の状態を把握し、TM の活用状況を監視し、機械翻訳出力の品質を評価するのに役立ちます。これにより、AI に基づくインサイトをもとに、エンジンのトレーニングサイクルを計画することが可能となります。」と、プロダクトグローバリゼーションディレクターの In Ju Woo 氏は述べています。
当社には、ビジネスに合わせて拡張でき、透明性を提供し、翻訳プロセスに関する詳細な情報を提供できるソリューションが必要でした。Phrase は、これらすべての要件を満たし、さらにそれ以上の要件も満たしています。
In Ju Woo 氏
Director of
Product Globalization
Zendesk 社
Phraseが Zendesk にもたらした影響
Phraseが選ばれた理由
Zendeskは複数のテクノロジーソリューションを比較検討した結果、Phraseを採用しました。この決定は、Phraseの製品ロードマップ、自動化への注力、ユーザーフレンドリーなインターフェース、高度な分析機能、そして強力なAPIによる拡張性を評価したことに基づいています。
Yoko氏はこのように述べています。「 PhraseのAI機能により、翻訳の品質をより効果的にモニタリングし、QAを行うことが可能になりました。改善が必要な箇所を特定し、翻訳が求められる基準を満たしているかどうかを確認するうえで、大きな助けとなっています。」
Phraseとのパートナーシップを通じて、私たちはより的確な意思決定が可能になり、新たな課題にも柔軟に対応できる体制が整いました。
常にオープンな対話が続いており、Phraseが状況に応じて最適なソリューションをタイムリーに提供してくれるという信頼感のもと、今後も共に成長していけると考えています。
YOKO DRAIN 氏
Sr. Director of
Product Globalization
Zendesk 社
メリット
- 高度な分析機能:Phraseプラットフォームにより、Zendeskはローカリゼーションプロセスを100%可視化できるようになりました。同社はさまざまなコンテンツタイプを簡単に管理し、既存のワークフローをアップデートすることで、必要に応じて新しいワークフローを作成しています。
- 時間とコストを大幅に削減:Advanced AnalyticsはZendesk のローカリゼーションプロジェクトの解析時間を数時間から数分間に短縮し、96%の時間削減を実現しました。さらに、Phraseを使用して人間による翻訳から機械翻訳に移行したことで、翻訳コストが25%以上削減され、効率がさらに向上しました。
- 革新的な自動化機能:Phraseの導入により、Zendeskは手作業によるローカリゼーションプロセスの多くを自動化できるようになりました。Phraseのプリセットツールを使って、以前は手作業だったプロセスを自動化した結果、一部の分野で100%の改善が見られました。
- 品質と一貫性の向上:Phraseを活用することで、Zendeskは翻訳の品質を維持し、向上させることができました。「翻訳メモリを完全に管理できるようになり、すべての言語で高品質な翻訳と一貫性のある用語の使用が可能になりました。これは私たちにとって大きな変化です。」と、In Ju氏は述べています。
- 柔軟性と拡張性:2019年以降、Zendeskの収益は新製品と市場拡大により164%以上急増しています。Zendeskの信頼できるローカリゼーション技術パートナーとして、Phraseはプロセスを合理化し、製品リリースまでの時間を短縮し、高品質の翻訳を実現しています。このサポートにより、Zendeskは迅速に拡大し、買収の統合を円滑に実現できるようになりました。
結論
Zendesk + Phrase = グローバル成長と高品質なローカリゼーション
ZendeskはPhraseとのパートナーシップを通じて、優れたローカリゼーション体制を土台とした柔軟なスケーラビリティを実現し、高品質なカスタマーサポートをグローバルに提供できる体制を大きく強化しました。
同社は現在、Phraseの最新AI機能の検証を進めており、今後の製品ロードマップにも大きな期待を寄せています。さらに、今後リリース予定の新機能のテストも視野に入れています。「「当社のビジネスはPhraseのサービスとともに進化しており、常に新しいイノベーションが計画されているため、今後登場する機能にも大いに期待しています。」」 とIn Ju氏は語っています。
また、Zendeskでは「Zendesk–Phraseコネクター」の導入も検討中です。自社開発のツールをすでに活用していますが、ニーズやユースケースの変化に応じて、コネクターを活用することでより幅広い要件に対応できる可能性があります。
Zendeskは今後、Phraseの活用をさらに拡大し、特にAIや機械翻訳(MT)分野における最新動向をいち早く取り入れながら、自動化機能のさらなる強化を目指しています。