グローバルビジネス
プロダクトマーケティング:新規顧客にリーチするための 10 のプロモーション戦略
かつては、プロダクトマーケティングといえば、コマーシャルの制作や地元新聞への広告掲載が一般的でした。現在は、製品プロモーションの状況は大きく変化し、ボタンをクリックするだけで世界中のオーディエンスにリーチできるようになりました。その一方で、世界中に広がる多様なオーディエンスを相手にすることは、失敗の可能性も高まり、一つのミスで、文化全体を傷つけてしまうこともあります。
たとえば、アジア人女性がお箸でピザを食べようとするドルチェ&ガッバーナのステレオタイプの広告が中国を怒らせたという事例です。このような失敗を避けるには、市場ごとに異なるプロモーション戦略とベストプラクティス、そしてそれらを適切に実行する方法を認識することが重要です。本ガイドでご紹介しているベストプラクティスを参考にすることで製品を慎重にローカライズし、文化的なトラブルを避けながら世界中でのプロモーションを可能にします。
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プロモーション前に考える製品、価格、流通
プロモーション戦略の要点に入る前に、マーケティングの4つのP(製品、価格、流通、プロモーション)について少し整理します。
どのような製品でも、最後のプロモーション(Promotion)を成功させるには、最初の3つのP、製品(product)、価格(price)、流通(place)をしっかりと理解する必要があります。この点を念頭に置き、効果的なグローバルマーケティングの観点から、それぞれのPについて詳しく見ていきます。
Product(製品)
製品を海外で展開するには、まずターゲット市場での需要を確認する必要があります。ターゲット顧客のニーズや要望を理解し、製品が適切であることを確認することが重要です。
最初のステップは、ローカルのマーケットと競合他社を理解することです。ここでリサーチが必要となります。これについては、以降のセクションで詳しく説明します。
Price(価格)
価格設定も国際マーケティングの重要な要素であり、製品をグローバルに展開したい場合には特に重要です。製品の価格を設定する際には、現地の経済状況、製品の認知度、競合他社の動向などを考慮する必要があります。
価格を自国通貨から現地通貨に単純に換算することを選択する企業もあれば、現地市場をより適切に反映するために価格を調整する企業もいます。すべてのニーズを満たす模範解答はありません。製品とターゲット市場によってアプローチを変える必要があります。
Place(流通)
流通とは、製品をターゲット顧客の手に届けるために使用する流通チャネルを指します。海外で販売する場合、現地の流通経路を把握し、ターゲットとなる顧客が探している場所で製品が入手できるようにする必要があります。
たとえば、中国ではeコマースは非常に大きな市場です。2021年、中国は世界のEコマース小売売上高の半分以上を占め、その売上額は欧州とアメリカ合衆国の合計を超えました。そのため、中国市場をターゲットにする場合は、AlibabaやJD.comなどの主要なeコマースプラットフォームで製品が購入できるようにする必要があります。
海外市場で製品をプロモーションする方法
マーケティングの最初の3つのPを理解すると、最後のP(プロモーション)について考えることができます。製品を広く知ってもらい、潜在顧客に興味を持ってもらうことは成功に必要不可欠ですが、市場によってそれぞれアプローチは異なるため、その地域の文化に合わせてプロモーション戦略を立てる必要があります。
ここでは、海外市場で製品の販売を促進するためのベストプラクティスをご紹介します。
リサーチする
新しい市場で製品のプロモーションを開始する前に、顧客は何を求めているのかをリサーチし、現地の文化的背景を深く理解することが重要です。これにより、文化的なミスアプローチを防ぎ、ターゲット市場に適したプロモーション戦略を構築することができます。
市場調査の際には、次のような質問をしてみてください。
- ターゲット顧客は誰か?
- 顧客のニーズや要望は何か?
- メディアをどのように利用しているか?
- どのソーシャルネットワークを利用しているか?
- 現地ではどのようなトレンドが人気なのか?
- マーケティングや広告に対する一般的な考え方は?
- ターゲット市場における重要なインフルエンサーは誰か?
- ターゲットオーディエンスのニーズ、関心、好みは何か?
- 現地の価値観や伝統は購買行動にどう影響を与えるのか?
- 顧客はどの価格で製品を購入してくれるのか?
- 現地の競合他社に対する独自の販売提案(USP)は何か?
ストーリーテリングをローカライズする
マーケティングでは、従来の翻訳だけでは十分とは言えません。ターゲットとする顧客の心を掴む、感動的なコンテンツが必要です。ストーリーテリングを使って自国市場で顧客とつながるように、海外市場でも同じことを行う必要があります。
ここでローカリゼーションが力を発揮します。ローカリゼーションとは、単に文言を翻訳するだけでなく、コンテンツをターゲット市場に適応させるプロセスです。現地の文化や習慣、価値観を考慮して、テキスト、レイアウト、画像、色など、コンテンツ全体をターゲットユーザーに訴求することが重要です。
どのチャネルでマーケティングを行う場合でも、メッセージをローカライズすることでブランドの信頼性が高まり、コンバージョンの増加につながります。ターゲットユーザーの言語で話すことは、製品の認知度を高めます。40%の消費者は、自国語以外の言語で書かれた製品を購入しません。
ターゲットオーディエンスにはブランドストーリーに親近感を持たせる必要があります。ハッピーエンドなど異文化間でも共通する要素もあれば、文化的背景や個人的な経験によって解釈が異なる要素もあります。そのため、国によって異なる潜在顧客の基本的価値観に合わせることが重要です。
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クリエイティブなコンテンツのためにトランスクリエーションに投資する
トランスクリエーションとは、マーケティング資料、広告キャンペーン、キャッチフレーズなどのクリエイティブなコンテンツを、当初の意図やスタイルを維持しながら、新しい文化的な文脈に適応させるプロセスのことです。つまり、テキストを特定の文化やターゲットに適応させるために書き直すことを指します。言語だけでなく感情や文化も重要な要素となります。
トランスクリエーションが力を発揮するのは、コンテンツの中でもとくにクリエイティブな要素を現地文化に適応させる必要があるときです。スローガンやジョーク、時には絵文字なども、現地の文化に合わせてアレンジします。基本的に原文を忠実に翻訳する翻訳者と違って、トランスクリエーションの担当者は、文章が読者に喚起したい考えやコンセプトなど、クリエイティブな側面を考慮に入れて作業を開始します。
たとえば、日本では、コウノトリが赤ちゃんを運んでくるストーリーだけでなく、川を流れる大きな桃から生まれる桃太郎の昔話が広く知られています。日本での売上拡大を目指す英国のおむつメーカーが、この昔話をマーケティングに取り入れれば、利益の拡大にポジティブな効果が得られるかもしれません。
国際的なSEO(検索エンジン最適化)の活用
デジタルの世界で、製品のプロモーションを行う際の優れた方法の1つが多言語SEOです。予算が厳しい場合は、クリック課金(PPC)などの検索エンジン広告(SEA)に投資する前に、ウェブサイトのオーガニックSEOリーチを改善してみることをおすすめします。ここでも、自国の市場をターゲットにしているキーワードを単に翻訳するだけでは不十分です。
国際SEOでは、マーケットリサーチから綿密な戦略を立案し、どのユーザーが製品に興味を持つのか、何が重要なのかを見極める必要があります。次に競合他社のリサーチですが、これは特に競合他社がターゲット市場向けにコンテンツを最適化していない場合に、新しい機会を見つけるのに役立ちます。
SEOを成功させるには、テクニカル、オフページ、オンページの3つの重要な側面に注意する必要があります。これらすべてを同時に考慮する総合的なアプローチは、可視性と投資収益率(ROI)を向上させるために不可欠です。
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キャンペーンの実施
誰もがお得なオファーを好みます。だからこそ、プロモーションや新規ユーザー向けのオファーは強力なマーケティングツールであり、新規市場に参入する際にも効果的です。新規ユーザー向けのオファーが正しく行われれば、ブランドの認知度は高まり、プロモーションが終了した後も顧客の心を掴むことができます。
これには少し、注意が必要です。お金や贈り物に対する認識は文化によって異なるため、安っぽく見られたり、気前が悪いと思われないように現地の慣習をしっかり調べる必要があります。どのようなアプローチが適切かリサーチすることが重要です。
現地企業との提携
新しいマーケットに参入する最良の方法の 1 つは、そこですでに高い評価を得ている地元企業と提携することです。そうすることで、潜在的な顧客との信頼関係を築くことができます。競合するのではなく、ビジネスを補完する会社と提携するのが最善策です。
たとえば、中小企業向けに新しいタスク管理アプリをリリースしようとしている SaaS 企業の場合、地元の会計ソフトウェアプロバイダーと提携することで、彼らの Web サイトやブログで紹介され、顧客ベースにリーチできるチャンスがあるかもしれません。また、両方の製品を購入する顧客に割引を提供することもできます。これにより、パートナーシップが促進され、Win-Win の状況が生まれます。
ソーシャルメディアのインフルエンサーとの連携
ソーシャル メディアのインフルエンサーは、新しいターゲットに製品をリーチさせる強力な力となります。ほとんどの場合、マイクロインフルエンサーから始めることをおすすめします。マイクロインフルエンサーは、フォロワー数こそ少ないものの、オーディエンスとのコミュニケーションにより積極的です。マイクロインフルエンサーは通常、そのフォロワーから高い信頼を得ており、それが貴社の売上につながることもあります。
一緒に仕事をする適切なソーシャルメディアインフルエンサーを見つけるには、まず、オンラインで貴社の製品についてすでに話しをしている人をリサーチすることから始めます。ブログ投稿やフォーラムでの質問、ブランド、キーワード、競合他社のメンションなどを確認するのに役立つツールは数多くあります。
現地のレビューやお客様の声を集める
現地の顧客からのレビューや体験談は、新しいオーディエンスに製品をアピールするのに役立ちます。これらは貴社の製品やサービスが購入に値するものであることを示す社会的証拠となり、潜在的な顧客との信頼関係を構築するのに役立ちます。
既存のレビューや体験談を翻訳して再掲載することから始めることもできますが、各ターゲット市場の顧客から新たなレビューや体験談を得ることもおすすめです。そのためには、ウェブサイト、ソーシャルメディア、または人気のあるローカルレビューサイトにレビューを残してもらうよう顧客に依頼します。レビューを残したお客様には、割引やその他のインセンティブを提供しましょう。
ローカルコンテンツの作成
新しいターゲットにリーチするための最良の方法の 1 つは、そのターゲットに関連したローカルコンテンツを作成することです。世界で最も高収入のYoutTuberであるMrBeastの例を見てみます。ローカルコンテンツに焦点を当てた動画を戦略的に制作することで、MrBeastは1億人を超えるユーザーの支持を集めることに成功しています。
コンテンツマーケティングには、新規顧客を引きつけ、信頼を築き、業界の権威としてブランドを確立する力があります。これはあらゆるマーケティング戦略において不可欠な要素であり、新規マーケットに進出する際には特に重要です。ブログ、インフォグラフィック、動画、ソーシャルメディアなど、どんな種類のコンテンツでも、ターゲットオーディエンスにとって関連性があり、役立つものである必要があります。
グローバルマーケティングはローカライゼーションがすべて
製品をグローバルにマーケティングするための鍵は、各ターゲット市場のニーズと好みを考慮した効果的なローカリゼーション戦略を実施することです。
現地の文化を理解し、適切なコンテンツを作成することで、潜在的な顧客と感情レベルでつながり、より効果的に製品を宣伝することができます。
本ガイドのベストプラクティスを参考に、時間をかけて適切にローカリゼーションを行うことで、グローバル展開の成功を手にすることが可能です。
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