ローカライズ戦略

ウェブサイトのローカライゼーションを始める10個のキーステップ

ウェブサイトのローカライゼーション、すなわちウェブサイトをターゲット市場のユーザーの文化と言語に合わせることは、全世界での成功を収めるための重要なステップです。それでは、ローカライゼーションを計画、実行、そして自動化する方法を見ていきましょう。
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ウェブサイトのローカライゼーションとは、そのウェブサイトをターゲットマーケットのユーザーの文化と言語に適応させることを指します。人々は、自分たちの言語で作成されたウェブサイトから商品を購入する意欲がより高まります。データによれば、65%の消費者は、表現が少々不自然でも、情報が自分の言語で伝えられることを好みます。

しかし、多言語対応のウェブサイトを開設することは、オリジナル言語で作成されたコンテンツを、ただほかの言語に置き換えば完了するものではありません。現地の文化、法規制、消費者の購買習慣、決済方法など、様々な要素を考慮に入れなければなりません。ウェブサイトのローカライゼーションの複雑さを、例を使って一緒に見てみましょう。

ここまでの説明を聞いて、少し心配になってきたかもしれませんね。しかし、安心してください。確かにウェブサイトのローカライゼーションは複雑な作業ですが、それを楽に行える方法をこれからお伝えします。もしウェブサイトをローカライゼーションするための良い方法を探しているなら、こちらの10ステップを参考にすると良いでしょう。これに従えば、ローカライゼーション時の一般的な誤りを回避し、世界中のユーザーに最高のユーザーエクスペリエンスを提供し、多言語対応のウェブサイトをより速くリリースできるでしょう。

1. ウェブサイトのローカライゼーションを戦略的に計画し、準備を進める

50億以上の人々が、毎日インタネットを利用しています。その大部分はアジア、アメリカ、ヨーロッパに住んでいます。全ての人々をビジネスの顧客にするのは難しいかもしれませんが、ビジネス拡大のポテンシャルは絶大です。つまり、一つのマーケットだけで商売するというのは、大きな商機を逃すことにつながります。ですから、ビジネスがグローバルに成功を収めたいと考えるなら、最初から外国市場での成長を考慮に入れるべきです。

ウェブサイトをデザインしたり、既存のウェブサイトを更新したりする際には、最初からウェブサイトのローカライゼーションを考慮に入れておくことで、将来的に大幅な時間とコストを節約することができます。計画は大きく、そしてグローバルに。現在のビジネスが国内市場に限定された小規模なものであっても、それが永遠にそうであるとは限りません。工業用ソフトウェアでも、幼児用の服でも、どんな製品にも国際的な成功を収めるチャンスがあります。自宅で作られた質の高い製品は、世界的な人気商品になる可能性を秘めているのです。

最初から確実なローカライゼーション戦略があれば、目的がより明確になり、実行可能なビジネス拡大計画に繋がり、事業発展のチャンスをもたらします。ーカライゼーション戦略を立案する際には、以下のポイントに注意しましょう。

  • お客様の製品またはサービスは、他の文化や市場に容易に適用できますか?特別な変更は必要でしょうか?
  • お客様の企業のローカライゼーション方針は、事業拡大を視野に入れていますか?
  • 製品やサービスの価格は、地域により変わるものですか?
  • ターゲット層の言語、文化、そして居住地域は、製品と一致していますか?
  • ローカライゼーションの納期は、新規市場での事業展開の時期に適合していますか?
  • ローカライゼーションの予算は、翻訳、レイアウト変更、その他の必要な修正をすべてカバーできますか?社内でローカライゼーションをすべて対応できますか?外部委託が必要ですか?
  • ローカライゼーションに必要な人材は、社内にいますか?
  • ローカライゼーションのためのツールや手段といった技術は、お客様の事業目標、リソース、タイムラインと合っていますか?

(マクドナルドの日本語サイトと英語サイトの違いを比較してみてください)

2. マーケットリサーチ

これまで一緒に確認してきたように、グローバルなウェブサイトは、新規顧客を呼び寄せ、世界中で新しいビジネスチャンスを見つけるための重要なツールの一つです。周到なローカライゼーション戦略を構成する上で、重要なステップの一つが、ターゲット市場についての丁寧な調査を実施することです。主要な顧客が1つまたは2つの国に集中している場合、ウェブサイトを1千種類以上の言語にローカライゼーションするような大規模な作業する必要はないでしょう。ターゲット市場、すなわち、製品の成功可能性がある地域を特定することは非常に重要です。

まずは、そのような地域のためのローカライゼーションを開始しましょう。そして、今後のビジネスチャンスを考慮し、他の新規市場に注目を向けましょう各国の状況を分析することで、ローカライゼーションの投資利益率をさらに高めることが可能です。マクドナルドのような世界大手でさえ一部の国で出店を断念したり、市場のニーズを見誤ったりすることがあります(法規制に抵触することさえあります)。

ターゲット市場が決まったら、丁寧な調査を実施して、各市場の顧客が本当に何を求めているのかを見極めましょう。大陸規模の一般的なデータだけでは、この目標を達成することはできません。例えば、フランスの市場は、スペインとは全く異なりますまた、スペイン人はドイツ人とは異なる文化環境で生活しています。さらに重要なことは、彼らはそれぞれ異なる言語を使用しているという事実です。

事業を展開したい地域に特化した市場調査を行うことで、海外の消費者の特性を把握することができます。顧客のニーズを分析、評価することが重要です。例えば、お客様の製品が高評価を受けている地域から事業展開を始めると良いでしょう。市場を分析する際には、以下のようなシンプルだが重要な質問から始めましょう。

  • 指定の市場には、お客様の製品に対する需要はありますか?
  • 市場の成長率はどうですか?
  • 競争は激しいですか?
  • 消費者はお客様の製品を負担できますか?
  • 消費者はどのような製品を好みますか?
  • 配送とカスタマーサポートにはどの程度のコストがかかりますか?
  • 市場から得られる利益と比較して、ローカライゼーションのコストパフォーマンスはどうですか?

不必要なコストを抑えつつ、できるだけ多くの潜在顧客を獲得することは重要です。そのために、新しい市場を開拓する際には、マーケティング及びファイナンスに関わる全ての要素を考慮に入れましょう。例えば、インタネットユーザーの数だけを見れば、中国は間違いなく大きな可能性を秘めた市場です。しかし、厳しい規制に適合できる製品を提供できなければ、そのような数字は何の役にも立ちません。

3. ウェブサイトのローカライゼーションのための専門チームを作る

ウェブサイトのローカライゼーションには、多大な努力が必要です。プロジェクトマネージャー、デベロッパー、デザイナー、翻訳者だけでなく、マーケティング担当者、コンテンツ制作者、QAエンジニアなど、多くのメンバーが関わるため、ローカライゼーションは往々にして複雑な作業となります。

良く組織されたローカライゼーションチームがあれば、プロジェクトを期限内に完了させ、それぞれのメンバーの作業効率を最大化し、プロジェクトの品質を高めることができます。チームの規模はお客様の予算に基づきますが、ウェブサイトのローカライゼーションプロジェクトを成功させる上で最も重要な要素は、チームメンバーがお客様のターゲット市場の顧客を理解することです。

つまり、文化と言語の壁を乗り越え、あなたの事業と海外の消費者を繋げる手助けをしてくれる人材が必要ということです。チームを構築する際に、このような人材を確保することをおすすめします。

  • ローカライゼーションマネジャーや翻訳プロジェクトマネジャーは、タスクを割り当て、プロジェクトが順調に進むよう、メンバーたちを管理します
  • 1名以上のデベロッパーを確保することで、コンテンツの国際化(後に詳しく説明します)とローカライゼーション時の技術的な問題に対処できます
  • 1名以上のデザイナーがいれば、顧客のニーズに合わせてビジュアルやデザインを調整できます
  • 優秀なネイティブ翻訳者チームを組織することで、コンテンツを正確に翻訳し、コピーをより自然に聞こえるように修正できます
  • QAエンジニアはローカライズされたコンテンツが正しく表示され、ウェブサイトにバグがないかを検出してくれます
  • 現地のサポートチームは、顧客からの質問に対応し、オンラインのレビューに反応し、顧客に必要なサポートを提供できます

プロの翻訳者とレビュアーを確保することの重要性は決して軽視してはなりません。一流の翻訳者は、お客様のメッセージを、現地の人々がすぐに理解できるように、翻訳・ローカライズできます。顧客の心を動かすには、オリジナルのメッセージと同じように、翻訳された文章が機知に富み、魅力的でなければなりません。

また、メンバー間でチームワークと緊密な連携も不可欠です。さらに、メンバーに正しいテクノロジーを提供できれば(後に詳しく説明)、成功により一歩近づけることができましょう。

4. キーワードリサーチ

ターゲット市場を決定し、ローカライゼーションを開始する前に、事前にキーワードリサーチを行うことをおすすめします。このリサーチを行うことで、人々がどのようなキーワードで製品やサービスを検索するか、自国との違いなどを把握できます。

最適な用語とフレーズを特定し、ローカライズされたウェブサイトに組み込むことで、関連する検索結果に表示される確率が上がります。このほかにも、多言語対応SEO(サーチエンジン最適化)のテクニックがあり、これらを活用すれば、より多くの方が検索エンジンを介してあなたのウェブサイトにアクセスできるようになります。トラフィックが増加するだけでなく、ターゲットユーザーにリーチするための有料広告の必要性も減り、長期的に経費を削減する効果も期待できます。

キーワードリサーチを行う際に、本国のマーケットで使われる用語だけを翻訳してリサーチしないように注意することが大切です。ターゲット市場で、あなたの製品やサービスについての議論に耳を傾けましょう。例えば、イギリス英語とアメリカ言語では、たとえば、「オーランドでの休暇(vacations in Orlando)」と「オーランドでの祝日(holidays in Orlando)」というように、同じ意味を表すのに、同じ意味を表すのに異なる語彙が用いられることがあります。他の地域でも同様の事情があります。ターゲット市場のユーザーに発見されなければ、どんなに優れたコンテンツを用意しても、収益を得ることは難しいでしょう。

多言語キーワードリサーチはまさに、このような問題を解決するための方法です。ターゲット市場の言語を話すマーケティング担当者なら、誰でもこのリサーチを行うことができます。または、SEOに精通した翻訳者チームにリサーチを依頼するのも一つの方法です。市場についての適切な知識、SEOに関するスキル、目的に適したツール、そして言語能力があれば、ウェブサイトに訪問者を引き寄せる最適なキーワードを見つけ、新たなビジネスチャンスを生み出すことが可能となります。

5. ウェブサイトのローカライゼーション作業を自動化する

手作業でウェブサイトのローカライゼーションプロジェクトを検討しているなら、それには多大な困難に伴うことを必ず考慮してください。タイプライターで文書を添削することはできず、計算機なしで複雑な数式を計算することはできません。同様に、メールリスト、テキストファイル、そしてエクセル表に頼ってローカライゼーションを実行するのはほぼ不可能と言っても過言ではありません。これでは、適時にプロジェクトを管理することができず、 効率も低いです。

手動でウェブサイトをローカライズすると、ミスが発生するリスクが大きく増加します。世界各国に住んでいるメンバーたちが、互いに連携を取ることが難しくなり、翻訳者は推測に頼って翻訳を行い、開発者は右から読む言語や縦に書かれる文書の扱いに頭を悩ませることでしょう。その上、プロジェクトを完了するまでに必要なやり取りに膨大な時間が費やされます。

そこが、ローカライゼーションテクノロジーの出番です。ビジネスを自動化できるテクノロジーと同じように、ローカライゼーションのためのソフトウェアを使うことで、ウェブサイトのローカライゼーションに必要な時間とコストを削減することが可能です。高速な開発作業に必要な変更を追いつくために、ローカライゼーションを加速するテクノロジーが必要です

ローカライゼーション作業をパイプライン化できるソフトウェアには、主に以下の種類があります。

  • 翻訳管理システム(TMS):これらのプラットフォームを利用することで、全メンバーがアクセスでき、すべての翻訳を一括管理できるデータベースを構築できます。コンテンツ管理システム(CMS)や顧客管理システム(CRM)など外部のプラットフォームと統合することで、翻訳管理システムは、様々なローカライゼーションタスクを自動化できます。
  • コンピューター支援翻訳(CAT)ツール:CATツールを用いることで、以前に翻訳した文書(翻訳メモリ)を再利用可能にし、翻訳者たちの作業を効率化できます。時間を節約できるだけでなく、全てのコンテンツにおいてブランドのメッセージの一貫性を保つことができます。多くの現代のTMSにはCATツールが組み込まれていますが、独立したソフトウェアを使用することも可能です。
  • 機械翻訳(MT):このテクノロジーは、コンテンツを自動的に翻訳できます。訳文の品質によっては、翻訳者がレビューする必要がある場合もあります。MTは常に進化しており、以前と比べて最近のMTは、文法、コンテキスト、自然言語の理解と処理能力が大幅に向上しています。
  • 翻訳品質保証(QA)ツール: これらのツールを使えば、実装する前に翻訳されたコンテンツのバグを発見できます。QAツールは、未翻訳の語句、不正確な数字、不自然なテキストなど、多くの問題を自動的に検出します。多くのTMSにはこれらのツールが組み込まれていますが、CATツールと同じく、独立した製品を利用することも可能です。
  • 用語管理ツール:これらのプラットフォームは、お客様が承認した用語を保存します。このようなサービスを利用することで、ローカライゼーションプロジェクトが常に同じ用語を使用することを保証できます。従って、すべてのコンテンツにおいて、一貫したブランドメッセージを発信することが可能になります。

6. 適切な翻訳管理システムを利用する

正しいツールを使用しなければ、どんなにすごいテクノロジーもその実力を発揮できません。逆に、適切なテクノロジーを導入することで、ローカライゼーションの難題の多くは簡単に解決できます。

ウェブサイトのローカライゼーション用のツールセットを選択する際に最も考慮すべきことは、どのTMSを利用するかです。ウェブサイトローカライゼーションプロジェクトを少ないコストで効率的に実行したいのであれば、自分のニーズをよく検討し、それを満たす最適な翻訳管理システムを選ぶべきです。

TMSが不十分であれば、ワークフローが滞り、多くの時間、資金、努力が無駄になります。長いメールのやり取り、手作業でのコンテンツのコピー時に発生するミス、アプリの文字列を一つ一つ見つけてリスト化する作業で発生する開発者の工数、報告しにくく、発見しにくい膨大なバグ…誤ったテクノロジーを選ぶと、上記のような問題に毎日悩まされることになります。

高機能な翻訳管理システムには、以下のような主要な機能が含まれます:

  • APIによる自動化:デベロッパーがAPIを利用してローカライゼーション用のファイルのアップロード、翻訳キーの抽出、スクリーンショットの生成、ワークフロー管理、パフォーマンスの観測など、多くの機能を自動化できます。
  • プロジェクトのスムーズな進行を支援する連携機能:すべてのチームメンバーと効率的にコミュニケーションできます。 フィードバック、備考、コメント、スクリーンショット、タグなど、コミュニケーションに必要な情報を一箇所に集約できます。
  • ウェブサイトのリアルタイム翻訳:ページ上のコンテンツを確認しながら翻訳が可能です。これにより、大量の時間(特に開発者の時間)を節約し、ワークフロー全体の効率を向上させます。また、リリース前に翻訳物の実際の効果を確認できます。
  • 翻訳メモリ:プロジェクトの効率を向上させ、頻繁に使用される用語を保存します。翻訳メモリはすべての変更を記録し、古いバージョンを検索できるようにします。これにより重複作業を防ぐことができます。
  • 内部の用語集または用語データベース:ローカライゼーション作業をガイドし、コンテンツの一貫性を保証します。
  • 自動品質チェック:コンテンツを実装する前に問題を発見できます。
  • 多様なファイル形式の対応:どんなソースファイルのコンテンツにも対応可能です。
  • 他のソフトウェアとの統合機能:コンテンツ管理システムやプロジェクト管理システムなど、追加のソフトウェアを使用せずに、人気のプラットフォームとシームレスに接続できます。

選択したTMSは、プロジェクトマネージャーとコーディネーターの役割を同時に果たします。チームメンバー全員が協力して作業することで、ウェブサイトをより低コストで迅速にローカライズすることが可能になります。

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7. ウェブサイトの国際化

国際化は、ウェブサイトのローカライゼーションを準備するためのプロセスです。この作業では、ウェブサイトのコードを確認し、技術的な問題が発生しないようにし、ウェブサイトのコンテンツが容易に他の言語に翻訳できるようにします。
ウェブサイトを国際化する際には、ソースコードから「翻訳可能」なコンテンツを抽出することが重要な手順の一つです。つまり、すべての言語に関する情報が単独のファイルに保存され、言語を変更してもコードに影響が出ないようにする作業です。しかし実際には、これ以上に複雑な作業が必要となります。

ウェブサイトの国際化を行う際には、以下のようなことを実施することをおすすめします。

  • ウェブサイトのコンテンツをUnicode(UTF-8)にエンコードし、他の言語の特殊文字が使用できるようにします
  • ローカライゼーションまたは国際化作業を妨げる障害がないように、ウェブサイトをデザイン、開発します(例えば、テキストのサイズを調整しても、全体デザインに影響が出ないようにするなど)
  • サイトが他の国で公開されるまで使用しない機能にも対応できるようにします(例えば、双方向テキストへの対応など)
  • 事前に定義したローカライゼーションデータや機能をコードに組み込みます(例えば、日付、時刻、数値のフォーマット、通貨記号など)
  • すべての言語において、UIで使用される画像を同じアセットにします。必要に応じて、動的に変化する画像を読み込むようにすると良いでしょう
  • 国際化テストツールで、ウェブサイトがグローバルリリースに準備できているかをテストします(例えば、自動言語検出機能が予定通りに機能するかどうか)

国際化の目的は、サイトを一から作り直さずに、どんなマーケットでもすぐに公開できるようにすることです。これは、どんな地形でも走行可能な自動車のデザインに似ています。山道でも砂浜でも容易に走行できるような車を設計するには、あらゆる環境に対応できる機能が必要です。

8. ユーザーエクスペリエンスとインタフェースをローカライズする

素晴らしいUXは、製品を成功に導くための基石です。 これは、顧客の満足度、コンバージョン率、売上に直結します。そのため、ウェブサイトのローカライゼーションを計画する際は、ローカライゼーションの内容がUXにどのような影響を及ぼすかを事前に想定することが重要です。

UI要素のデザインを例にしましょう。国際化を事前に行うことで、他の言語の長い文字列でも問題なく表示させることが可能になります。一方で、もしUIデザインが一部の国に適切に対応できない場合は、それを変更する必要があります。

例えば、ページの要素の並び順を調整したり、文化的な禁忌を避けるため色を変更したり、ターゲット市場の文化により適合した画像を採用したり、あるいは市場に合わせてUIを一から作り直したりすることが必要な場合があります。

また、ターゲット市場のユーザーがどのようにインターネットを利用するか、インターネットの速度にも気を配ってください。ターゲット市場のユーザーが速度の低いインターネットまたは機能の限定的なデバイスを利用している場合、よりシンプルなUIにすると良いでしょう。例えば、画像の数を少なくすれば、ページの読み込みがより速くなります。

大まかに言えば、UIとUIのローカライゼーションは、ユーザーがより簡単にウェブサイトを見つけ、楽しく利用し、彼らの好みに合わせて必要な変更を加えることを意味します。

9. リリース前にテストを行う

ウェブサイトのローカライゼーションが完了したら、全ての語彙が正確に翻訳されているか、UIが正常に表示・稼働しているか、技術的な問題がないかをテストすることが不可欠です。ローカライゼーションテストは、機能の確認と翻訳の精確性のチェックを行う作業です。

ウェブサイトローカライゼーションの機能テストは、以下の項目に注目します。

  • 暗号化アルゴリズム
  • ハードウェアとの互換性
  • 名前、時間、日付、重量、寸法など
  • アップグレード
  • 入力フィールド
  • ハイパーリンク
  • 画像の適切性
  • 正常表示されない文字列やデザインの有無
  • フォームの機能
  • ショッピングカート
  • 決済の処理
  • 読み込み時間
  • ダウンロード

ウェブサイトローカライゼーションの翻訳精度テストは、以下の項目をチェックします。

  • スペルと文法の間違いの有無
  • 記号の間違いの有無
  • 文化的な適切性
  • 不適切なキーワードの有無
  • メッセージの読みやすさと魅力
  • 未翻訳の文字列の有無

専門的なスキルとローカライゼーションの知識を持つ、特定市場のネイティブスピーカーの専門家にテストに参加してもらうことをおすすめします。テスト計画を立て、必要なテスト素材を全て集め、テスト環境を整備した上で、テストを開始しましょう。

10. ローカライズされたウェブサイトを宣伝しよう

ローカライズされたウェブサイトが公開され、運用を開始したら、ターゲットとするユーザーにその存在を認知してもらい、彼らのニーズにピッタリの解決策を提供していることをアピールしましょう。ここでマーケティングローカライゼーションが役割を果たします。プロモーション用の素材が自国市場向けのものだけでは、海外市場での製品の需要を拡大することは難しいでしょう。

ソーシャルメディアの投稿が現地の文化や背景に適応していなければ、エンゲージメントを高めることはできません。ユーザーに行動を起こさせるための手法が不明であれば、ユーザーはウェブサイトのフォームに自主的に入力することはないでしょう。行動を起こさせるための方法が分からなければ、ユーザーが自らウェブサイトのフォームに記入してくれません。

海外市場で本当の成功を収めるためには、文字通りにも、そして比喩的にも、ターゲットとする読者の言葉を話す必要があります。彼らが何に心を動かされるのか、何が彼らにとって苦痛なのか、どのようなコミュニケーションを好むのかを理解する必要があります。
つまり、文化、文脈、言語がプロモーション戦略に与える影響を考慮し、マーケティング活動をローカライズする必要があるのです。

  • ソーシャルメディア、Eメール、検索エンジンなどのマーケティング手法の効果は、国によって異なります。
  • ある文化圏では有効かつ効果的と見なされている戦略が、別の文化圏では過度な広告と受け取られる可能性もあります。
  • アクションを呼びかけるフレーズ、スローガン、ウェブサイトやマーケティング資料に掲載するその他のテキストは、現地の言語や文化に慎重に合わせる必要があります。
  • ある市場で効果的な有料検索キーワードが、別の市場では同じ効果を発揮しないこともあります。異なる市場のユーザーが同じものを検索するために異なる語彙を使用することを前文で説明しました。

これらすべての要素に限らず、様々な要素が、お客様のローカルマーケティング戦略に大きなインパクトを与えます。アプリのダウンロード数を増やすのか、ウェブサイトのトラフィックを増加させるのか、訪問者の滞在時間を延ばすのか、目標は何であれ、ターゲットオーディエンスに響くローカルな顧客体験を作り出すことが全てです。

コピーをローカライズする、地元でのレビューや証言を収集する、地元のコミュニティを活用する、地元のインフルエンサーと連携する — これらすべてが、ターゲット市場が自国市場とどのように異なるかを理解するのに時間を要する場合でも、最初に取り組むべきことです。ウェブサイトのローカライゼーションについて述べたこのガイドのヒントに従い、常にターゲット市場を念頭に置くことで、グローバルな成功への道が開かれるでしょう。